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相続相談 |
1 相続の法定原則
相続とは,端的にいえば,被相続人(死者)の「財産」を,「誰か」に「承継」させるための制度のことです。
「財産」と言えば,被相続人(死者)が生前に有していた不動産や,預金などのプラスの財産(これを積極財産といいます)を想像されるかと思いますが,ここでいう財産には,借金などの債務(これを消極財産といいます)も含まれます。
これらの,相続の対象になる財産のことを,相続財産といいます。相続問題を解決するに当たっては,まず,何が相続財産に当たるのかを検討する必要があります。
「誰」に財産を承継させるのかについて,我が国の民法は,原則として,被相続人(死者)と一定の親族関係にあった者に承継させるという制度を採用しております。民法により,財産の承継者とされる者を相続人といいます。
民法によって,相続人となる一般的な資格が決められていますが,資格があるからといって必ず相続人になれるというわけではありません。
民法は,相続欠格及び相続廃除という制度を設け,相続資格のはく奪を認めております。
また,相続するのかどうかの自由を認めております。相続の承認・放棄という制度です。
次に,複数の相続人がいる場合,誰がどれだけの財産を承継するのかが問題となります。
民法は,相続人の種類によって,承継する財産の割合を決めております。民法によって決められた割合を法定相続分といいます。
民法は,公平の見地から,法定相続分を調整する規定を置いています。特別受益,寄与分という制度です。
このように,相続問題を解決するには,相続人の範囲や相続する割合も検討する必要があります。
最後に,承継した財産が,最終的に,どのようにして,相続人に「承継」されるのかが問題となります。
不動産,株式,預金,現金,借金などの相続財産がどのような形で分配ないし負担されるのかという問題です。遺産分割手続を経る必要があるのかどうかという問題と絡んできます。
2 被相続人の意思による法定相続の修正(遺言相続)
上記のとおり,法律によって,相続人資格や相続分が決められておりますが,被相続人には,自らの意思によって,死後の法律関係・財産関係を定める自由が認められています。皆さんがよくご存じの遺言という制度です。
遺言は,民法所定のルールに従わなければ無効となります。この点は注意が必要です。
遺言によって,被相続人は,相続人以外の者(法人も含まれます)に対し,財産を承継させることもできますし,特定の相続人に対し,法定相続分を超える財産を承継させることもできます。
もっとも,被相続人の意思も無制限に尊重されるわけではなく,相続財産に対して,相続人が最低限持っている一定割合(これを遺留分といいます)を侵害することはできません
3 以上のように,相続には,相続の対象となる財産の範囲,相続人の範囲,法定相続分特別受益,寄与分,遺産分割の要否,遺言,遺留分といった様々な問題があります。
また,相続税や行政上の手続きも問題になります。
相続問題でお悩みの方は,お近くの弁護士に相談することをお勧めいたします。
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